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1955年群馬県生まれ。東京大学大学院教育学研究科修了、教育学博士。専門はスポーツ・バイオメカニクス。国際バイオメカニクス学会元理事、日本バイオメカニクス学会理事長。著書:「スポーツ・バイオメカニクス(朝倉書店)」「運動会で1番になる方法(ASCII)」ほか多数。
音楽とランニングの関係を調べるために、大学生の男女10名ずつを対象に、「好きな曲と嫌いな曲、ランニングピッチが合う曲と合わない曲」を聴きながら同じスピードで10分間走るという検証実験を行いました(グラフ参照)。グラフにある「主観的運動強度」とは “運動に対する心理的なきつさ”を表す指標で、心拍数を10で割った数値にほぼ相当します。「快適度」は、“運動に対する心理的な楽しさ”を表す指標で、ランニング中の被験者から回答を得ています。その結果、「嫌いな曲でランニングピッチが合わない曲」と比べると、「好きな曲でランニングピッチが合う曲」の場合だと、主観的運動強度(きつさ)で約10%改善し、快適度(楽しさ)では約20%向上することが実証されました。つまり、同じスピード、同じ時間のランニングであっても、自分の嗜好と身体のリズムに合った音楽を聴きながら走れば、心理的に10%程度きつさが解消され、20%快適になるのです。
また、運動するときの適度な条件として、スポーツ科学は「(1)持続時間:20~30分、(2)運動強度:最大心拍数の60~80%(主観的には、‘ややきつい’)、(3)頻度:週に3~4回」を提示しています。しかし、このうち生理的効果に最も影響する、運動強度((2))を意識して保つのは、案外難しいものです。そこで、音楽のテンポをうまく利用しながら運動を行えば、意識せずに理想的な運動強度を長く維持できるようになります。
音楽と身体のリズムを一致させると、トレーニング効果の向上や、ランニング習慣の定着に大いに役立つと考えられます。ランナーとしての自分の可能性を、再発見することにもつながります。ただし、既存のプレーヤーで音楽を聴きながら走っても、曲と自分の身体のリズムが一致するとは限りません。
音楽のテンポに合わせて自分のピッチを逆に調節すれば、運動の快適度を低下させ、疲労感を増やすことにもなりがちです。音楽をランニングに活用する際には、適切な条件を満たした曲を使って行うことが重要なのです。
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